こんにちは、配当日記です。
37歳のとき、勤めていたIT企業を退職しました。資産3,000万円を土台に、週3日ほどのアルバイトと配当金を組み合わせるサイドFIREへ。あれから3年、いまはアルバイトにも区切りをつけて、収入は配当金だけになりました。
その翌年、市区町村から届いた封筒を開けて固まった話は、以前国民健康保険が高すぎる理由と最新制度に書きました。会社員をやめた翌年の国民健康保険料は、前年の所得で決まります。あの金額を見て以来、私は「税金」と「社会保険料」をひとつづきのものとして考えるようになりました。
そこで毎年ひっかかるのが、配当控除です。
調べると、たいていこう出てきます。「課税所得695万円までなら、配当は総合課税で申告したほうが有利」。この数字自体は間違っていません。ただ、これは会社の健康保険に入っている人だけに当てはまる数字です。国民健康保険の人が同じつもりで申告すると、翌年度の保険料まで含めた収支は、まったく違う姿になります。
この記事では、その「答えが変わる理由」を、制度の条文と実額の両方で整理します。数字は東京都杉並区の令和8年度(2026年度)の保険料率を使ったモデル計算で、確定額ではありません。それでも、自分がどちら側の人間なのかを見分ける材料にはなると思います。
なお、本記事は制度の仕組みを整理したものであり、個別の税務相談ではありません。実際の判断は、お住まいの自治体や税務署、税理士にご確認ください。
この記事の内容
- 1. 配当の税金には、3つのルートがある
- 2. よく言われる「695万円」の正体
- 3. 国民健康保険だと、計算が変わる
- 4. 実額でやってみる(杉並区・令和8年度モデル)
- 5. 2026年だけの落とし穴「489万円の崖」
- 6. 表に出てこない判断材料が6つある
- 7. この前提は、いつまで続くのか
- まとめ:自分の自治体の数字で確かめるまでが1セット
1. 配当の税金には、3つのルートがある
上場株式の配当を受け取ると、証券口座で所得税15.315%・住民税5%、合わせて20.315%が源泉徴収されます。ここまでは全員同じです。
分かれ道は、そのあとです。確定申告のときに、次の3つから選ぶことになります。
| 総合課税を選ぶ | 申告分離課税を選ぶ | 確定申告不要制度 | |
|---|---|---|---|
| 税率 | 累進税率(5〜45%) | 所得税15.315%・住民税5% | 源泉徴収されたまま(同左) |
| 配当控除 | 使える | 使えない | 使えない |
| 株の譲渡損失との損益通算 | できない | できる | できない |
| 合計所得金額への算入 (扶養や各種判定に使う数字) |
含まれる | 含まれる | 含まれない |
出典:国税庁 No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度
配当控除というのは、法人税を払ったあとの利益から配当が出ていることをふまえて、配当を受け取った側の税を一定率で軽くする仕組みです。国内法人からの配当であれば、課税総所得金額が1,000万円以下の部分について、所得税で配当額の10%、住民税で2.8%が税額から直接引かれます(1,000万円を超える部分は、それぞれ半分の5%・1.4%)。控除できるのはその年の算出税額までで、引ききれなかった分は切り捨てです。翌年に繰り越すことはできません。
出典:国税庁 No.1250 配当所得があるとき(配当控除)/地方税法 附則第5条
ここで先に押さえておきたいのが、いちばん下の行です。
✅ この記事の全体を通じて効いてくる2つの事実
- 配当控除が使えるのは、総合課税を選んだときだけ
- 総合課税でも申告分離課税でも、配当は「合計所得金額」に含まれる。含まれないのは申告不要制度だけ
2つ目が、あとで国民健康保険の話に直結します。「申告分離課税にしておけば社会保険料には響かない」という説明を見かけることがありますが、これは正確ではありません。
2. よく言われる「695万円」の正体
会社の健康保険は、配当をまったく見ていない
会社員や公務員が入る健康保険(協会けんぽ・組合健保・共済組合)の保険料は、給与などの「報酬」から決まる標準報酬月額で計算されます。健康保険法が定める報酬とは、労働の対償として受け取るものです。配当は労働の対償ではないので、標準報酬月額には入りません。
つまり、会社の健保に入っている人は、配当をいくら受け取っても、いくら申告しても、健康保険料は1円も動きません。だから所得税と住民税だけを比べればいい。ここが出発点です。
だから「税率だけ」の勝負になる
総合課税を選んだときの実質的な負担率は、次の式で出せます(課税総所得金額が1,000万円以下の場合)。
所得税:(所得税率 − 配当控除10%)× 1.021
住民税:(10% − 配当控除2.8%)= 7.2%
1.021は復興特別所得税の分です。これを申告不要のまま(20.315%)と並べると、こうなります。
| 課税総所得金額 | 所得税率 | 総合課税の実質負担 | 申告不要のまま | 有利なのは |
|---|---|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 約2.1% | 20.315% | 総合課税 |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% | 約7.2% | 20.315% | 総合課税 |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 約17.4% | 20.315% | 総合課税 |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% | 約20.5% | 20.315% | 申告不要 |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 約30.7% | 20.315% | 申告不要 |
税率が23%の帯に入った瞬間、総合課税の負担が20.315%を追い越します。これが「695万円」の中身です。所得税率の刻み目そのものが分岐点になっているだけで、特別な計算があるわけではありません。
ただ、この表が成り立つ前提を、もう一度確かめてください。健康保険料が動かないことです。この前提が崩れる人たちがいます。
3. 国民健康保険だと、計算が変わる
国保は、配当を丸ごと拾う
国民健康保険料の所得割は、前年の総所得金額等から住民税の基礎控除43万円を引いた額(賦課標準額)に、自治体ごとの料率を掛けて計算します。
ここで根拠になるのが国民健康保険法施行令第29条の7です。この条文は、算定の基礎に「総所得金額」だけでなく他の所得と区分して計算される所得の金額も含めると定めています。申告分離課税を選んだ配当所得は、まさにこの「他の所得と区分して計算される所得」に当たります。
したがって、こうなります。
✅ 国民健康保険料が上がるか、上がらないか
- 総合課税で申告 → 上がる
- 申告分離課税で申告 → 上がる
- 申告不要制度(申告しない) → 上がらない
申告不要制度を選んだ場合は、地方税法第313条第12項によって、その配当が住民税の総所得金額から除かれます。国保料の算定はこの住民税の数字を土台にしているので、連動して算定の外に出ます。
つまり国保加入者にとっての比較は「総合課税 vs 申告不要」であって、「総合課税 vs 申告分離課税」ではありません。申告分離課税は、株の譲渡損失と相殺したいときに意味を持つ選択肢であって、社会保険料を避けるための選択肢ではないのです。
ついでに、もうひとつ使えなくなったもの
ネット上には「所得税は総合課税で配当控除を取り、住民税だけ申告不要にする」という節税法がいまでも残っています。かつては有効な手でしたが、地方税法第313条第12項・第13項の改正により、所得税の確定申告書に配当の明細を書いた時点で、住民税でも同じ扱いになります。所得税と住民税で別々の課税方式を選ぶことは、令和6年度の住民税からできません。
古い記事を参考にすると、ここでつまずきます。私も最初に調べたとき、この裏技の解説をいくつも読んで、あやうく前提を間違えるところでした。
そして「効いてくるのは翌年」
国保料は前年の所得で決まります。今年の確定申告で総合課税を選んだ影響は、翌年度の保険料通知という形で戻ってきます。還付金が振り込まれた数か月後に、増えた保険料の封筒が届く。この時間差があるせいで、損得の実感がずれやすいところでもあります。
4. 実額でやってみる(杉並区・令和8年度モデル)
使った料率と前提
ここから先は、東京都杉並区の令和8年度(2026年度)の保険料率を使ったモデル計算です。
| 区分 | 均等割(年額・1人) | 所得割 | 限度額 |
|---|---|---|---|
| 医療分 | 47,600円 | 7.51% | 67万円 |
| 後期高齢者支援金分 | 17,600円 | 2.80% | 26万円 |
| 介護納付金分(40〜64歳) | 17,800円 | 2.43% | 17万円 |
| 子ども・子育て支援金分(2026年度新設) | 1,873円 | 0.27% | 3万円 |
| 合計 | 84,873円 | 13.01% | 113万円 |
出典:杉並区「国民健康保険料の料率」(2026年4月1日更新)
✅ そのほかの前提
- 40代・単身・国民健康保険(介護保険第2号被保険者)
- 東京23区なので平等割はなし
- 所得の低い世帯の均等割軽減(7割・5割・2割)は自動判定で反映
- 国保料と均等割の軽減は世帯単位で判定されます。同じ世帯にほかの被保険者や所得がある場合、①の軽減は効かず結果が変わります
- 国民年金保険料は令和8年度の月額17,920円=年額215,040円
- ケースAの表の金額は所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料を合計した1年間の負担額。支払った社会保険料は社会保険料控除として税計算に反映しています
- 端数処理は厳密ではないので、すべて「およそ」の数字です
ケースA:収入が配当だけの場合
収入が配当金だけ、という人のパターンです。
| 配当の年額 | ①申告不要 | ②総合課税 | 差額(+は総合課税が有利) |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 約849,952円 | 約748,843円 | +101,109円 |
| 400万円 | 約1,053,102円 | 約937,933円 | +115,169円 |
| 600万円 | 約1,459,402円 | 約1,316,113円 | +143,289円 |
| 800万円 | 約1,865,702円 | 約1,665,717円 | +199,985円 |
| 1,000万円 | 約2,272,002円 | 約2,107,450円 | +164,552円 |
| 1,200万円 | 約2,678,302円 | 約2,628,770円 | +49,532円 |
| 1,230万円 | 約2,739,247円 | 約2,740,334円 | −1,087円(逆転) |
| 1,300万円 | 約2,881,452円 | 約3,000,650円 | −119,198円 |
正直なところ、この結果は私の予想と逆でした。「国保だと社会保険料で持っていかれるから、総合課税は不利になりやすい」と思い込んでいたからです。
配当600万円のところを開けてみます。社会保険料控除と基礎控除を引いた課税総所得金額はおよそ430万円。ここから計算した所得税額に対して、配当控除が60万円(600万円×10%)ぶん効くので、所得税は0円になります。源泉徴収されていた所得税分およそ91.9万円が、まるごと戻ってくる計算です。国保料はたしかにおよそ78万円増えますが、戻ってくる額のほうが大きい。だから差し引きで14万円ほど総合課税が有利になります。
逆転が起きるのは1,230万円あたり。そこに至るまでに、次の3つが順に効いてきます。
- 国保料が賦課限度額113万円で頭打ちになる(同時に社会保険料控除もそれ以上増えなくなり、課税所得の伸びが速くなる)
- 課税総所得金額が1,000万円を超え、超過部分の配当控除率が半分(10%→5%、2.8%→1.4%)になる
- 所得税率が33%の帯に入る
なお、申告不要を選んだ側にも見えにくい利点があります。配当を申告しなければ合計所得金額に入らないため、この試算のケースでは住民税が非課税になり、国保の均等割も7割軽減の対象に入ります。表の①の金額には、それらも織り込んだうえでの数字です。それでもなお、②のほうが安い、ということになります。
ケースB:事業所得など、ほかの所得がある場合
ところが、同じ国保加入者でも、配当以外の所得があると結論が引っくり返ります。ケースBは差額のみを示します(絶対額の内訳はケースAとは別の集計です)。
| 事業所得 | 配当 | 有利なのは | 差額 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 100万円 | 総合課税 | 約59,239円お得 |
| 300万円 | 300万円 | 申告不要 | 約26,482円の損 |
| 400万円 | 100万円 | 申告不要 | 約24,228円の損 |
| 500万円 | 50万円 | 申告不要 | 約30,747円の損 |
配当だけで暮らしている人は1,200万円あたりまで総合課税が有利。ところが事業所得が400万円ある人は、配当100万円の時点でもう不利になります。
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。分かれ目は「国保か、会社の健保か」の一段だけではありません。
✅ 二段構えで考える
- 第1の分かれ目: 会社の健保か、国民健康保険か(=配当が保険料に響くかどうか)
- 第2の分かれ目: 国保の場合、配当以外の所得がどれだけあるか(=配当が上乗せされる土台の高さ)
土台がすでに高い人ほど、配当を上に積んだときに税率も保険料も一緒に押し上げられます。だから同じ国保加入者でも、フリーランスとして稼いでいる人と、配当だけで暮らしている人とでは、答えが逆になるのです。
5. 2026年だけの落とし穴「489万円の崖」
令和8年分の基礎控除は、段差が大きい
令和8年分(2026年分)の所得税から、基礎控除の形が変わりました。
| 合計所得金額 | 令和8年分の基礎控除額(所得税) |
|---|---|
| 489万円以下 | 104万円 |
| 489万円超〜655万円以下 | 67万円 |
| 655万円超〜2,350万円以下 | 62万円 |
| 2,350万円超〜2,400万円以下 | 48万円 |
| 2,400万円超〜2,450万円以下 | 32万円 |
| 2,450万円超〜2,500万円以下 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 |
出典:国税庁「令和8年分以後の基礎控除の見直し等について」/財務省「令和8年度税制改正の大綱」
ここは丁寧に読んでください。104万円になるのは、合計所得金額が489万円以下の場合だけです。「2026年から基礎控除が104万円に上がった」という説明だけを見て、自分にも当てはまると考えると危険です。
489万円を1円でも超えると、控除額は104万円から67万円へ。一段で37万円落ちます。前年(令和7年分)の同じ位置の段差は5万円でしたから、崖が一気に7倍以上に深くなった格好です。なお、住民税の基礎控除は43万円のままで変わっていないので、この崖は所得税だけに効きます。
誰が落ちるのか
会社員の場合。給与だけで合計所得金額が489万円をわずかに下回る人(給与収入でおよそ665万5,556円が境界です)が、配当を総合課税で申告して489万円を超えると、基礎控除が37万円減ります。
たとえば所得税率10%の帯にいて、合計所得金額480万円の人が配当20万円を総合課税で申告した場合。配当控除で得られるのはおよそ26,230円、基礎控除が減ることによる損はおよそ37,777円。差し引き11,547円の損になります。損得がひっくり返るのは、配当がおよそ28.8万円を超えたあたりから。中途半端な額の配当を申告するのがいちばん損、という妙な構造です。
国保加入者の場合。先ほどのケースBで、事業所得400万円+配当100万円が不利側に出ていたのを覚えているでしょうか。合計所得金額がちょうど500万円になり、この崖を越えます。崖がなければ総合課税がおよそ27,333円有利だったところが、崖ひとつでおよそ24,228円の不利に反転しました。振れ幅にしておよそ51,561円。この1本の段差だけで、結論が入れ替わっています。
✅ 申告前に必ずやること:配当を足したあとの合計所得金額が489万円を超えるかどうかを、先に確認する
6. 表に出てこない判断材料が6つある
ここまでは金額で比べてきましたが、金額の比較表に載らない要素もあります。私が実際に迷ったところを並べておきます。
1. 総合課税を選ぶと、株の譲渡損失と相殺できない
その年に株の売却で損が出ている人は、配当控除の額と、損益通算で減らせる税額を比べる必要があります。損失を翌年以降に繰り越したい場合も、通算に使えるのは申告分離課税を選んだ配当だけです。
2. 申告不要を選ぶと、住民税非課税に届くことがある
配当を申告しなければ合計所得金額に入らないため、ほかに所得が少ない人は住民税が非課税になる可能性があります。住民税非課税は、国保の均等割軽減のほか、自治体のさまざまな制度の入り口にもなっている区分です。ここは金額換算しにくい部分なので、私は「表の差額が小さいときは、非課税側を残す判断もある」くらいに考えています。
3. NISA口座の配当は、そもそもこの話の外
NISA口座で受け取った配当は非課税で、確定申告の対象にもなりません。合計所得金額に入らないので、国保料にも影響しません。比較すべきなのは課税口座で受け取っている配当だけです。
4. 外国株・海外ETF・J-REITは配当控除の対象外
配当控除が使えるのは国内法人からの配当です。外国法人からの配当、そしてJ-REIT(投資法人からの金銭の分配)は対象外。国内の証券投資信託の収益分配金は、所得税5%(一定の外貨建資産割合等がある場合は2.5%)と、控除率そのものが低くなります。
これは実務上けっこう痛いところで、米国高配当ETFやJ-REITの比率が高いポートフォリオだと、総合課税を選んでも配当控除がほとんど乗ってきません。そのぶん所得だけが増えて国保料が上がるので、国保加入者にとってはいちばん不利な組み合わせになりえます。私自身、この点を確認してから配分の見方が少し変わりました。
5. 申告するなら、その年の上場株式等の配当は全額まとめて
「この銘柄だけ総合課税、あの銘柄は申告分離課税」という選び分けはできません。申告する場合は、その年の上場株式等の配当等の全額について、どちらか一方を選ぶことになります。
6. 一度選んだら、あとから変えられない
確定申告で選んだ課税方式は、修正申告や更正の請求で変更することができません。「あとで有利なほうに直せばいい」が通用しない場面です。申告書を出す前に決めきる必要があります。
7. この前提は、いつまで続くのか
ここまでの話は「申告不要制度を選べば、配当は国保料の算定に入らない」という前提の上に立っています。この前提が将来も続くのかどうかは、押さえておいたほうがいいでしょう。
厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会は、令和7年12月25日に議論の整理を公表しました。そこでは、金融所得を保険料の算定に反映させるために、証券会社などが提出する法定調書を活用する方向が示されています。
ただし、進め方には順番があります。まず後期高齢者医療制度から金融所得を勘案する方針が固まった段階で、国民健康保険についても対象の候補として名前は挙がっているものの、いつから実施するかは決まっていません。令和8年度中に具体的な制度設計を進め、順次実施していく、という状況です。
出典:厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会「議論の整理」(令和7年12月25日)
ネット上には「◯年から国保でも申告不要が使えなくなる」といった具体的な年数を挙げた記事もありますが、少なくとも公表資料の範囲で国保の実施時期は確定していません。いまは制度設計の途中である、という理解にとどめておくのが正確だと思います。
いずれにせよ、この記事の計算はすべて「その年の制度」で成り立つものです。毎年やり直す前提で見てください。
まとめ:自分の自治体の数字で確かめるまでが1セット
長くなったので、判断の順番だけ整理します。
✅ 配当控除を使うかどうかを決める4ステップ
- ステップ1:自分がどちらの健康保険かを確認する。会社の健保なら配当は保険料に響かないので、課税総所得金額695万円という目安がそのまま使える
- ステップ2:国保なら、比べるのは「総合課税 vs 申告不要」。申告分離課税は社会保険料を避ける手段にならない
- ステップ3:配当を足したあとの合計所得金額が489万円を超えないか確認する。超えるなら、基礎控除が37万円減る影響を織り込む
- ステップ4:保有している配当のうち、配当控除が乗る国内株の割合を確認する。外国株・J-REIT中心なら、控除は思ったほど効かない
そのうえで、最後は必ずご自身の自治体の数字で確かめてください。この記事の試算は杉並区の令和8年度料率を使ったモデルで、確定額ではありません。保険料率も均等割も賦課限度額も、自治体ごとに違い、毎年変わります。「(お住まいの市区町村名) 国民健康保険料 試算」で検索すると、多くの自治体が保険料の簡易シミュレーターや計算例のページを用意しています。そこに、配当を入れた場合と入れない場合の2通りの所得を打ち込んでみるのがいちばん早い方法です。
還付金の額だけを見て「得した」と判断すると、翌年度の保険料通知で帳尻が合わないことがあります。私が最初にあの封筒で驚いたのも、税金と社会保険料を別々のものとして考えていたからでした。片方だけを見て決めない。それだけで、判断の精度はかなり変わると思います。
あわせて読みたい
【免責事項】本記事は投資助言ではなく、また個別の税務相談でもありません。記載の税制・保険料率は執筆時点(2026年7月)に公表されている一次情報にもとづく整理であり、試算はいずれも記事内に示した前提条件のもとでのモデル計算です。実際の税額・保険料額は個々の状況により異なります。最終的な判断は、お住まいの市区町村・所轄税務署・税理士等にご確認のうえ、自己責任でお願いします。